道の駅にトレーラーハウスを設置するメリットとは?平時も災害時も使える“移動式施設”

道の駅にトレーラーハウスを設置するメリットとは?平時も災害時も使える“移動式施設”

― 平時と有事をつなぐ新たな公共空間のかたち ―

はじめに

全国に1,230箇所(2025年6月1日時点)ある「道の駅」は、地域の玄関口として、観光・買い物・休憩といった多様な役割を担っています。そして、近年その機能が進化を遂げつつあります。特に注目を集めているのが、トレーラーハウスの導入です。

トレーラーハウスは、移動可能でありながら、住宅・店舗・事務所としての機能を備えた空間です。これまで仮設住宅やイベント出店などに使われてきましたが、今やその活用シーンは道の駅という公共施設にまで広がりを見せています。

本記事では、道の駅におけるトレーラーハウスの導入事例やその可能性について、平時と有事の両面から詳しく解説します。


トレーラーハウスとは何か

トレーラーハウスとは、車輪付きの建造物で、牽引することで移動が可能な「動く建物」です。法律上は建築物ではなく「車両」扱いとなるため、設置にあたって建築確認申請が不要なケースが多く、導入までのハードルが比較的低いことが特徴です。

また、内部は高断熱・高気密な構造になっており、冷暖房設備や給排水、トイレ・キッチンの設置も可能。移動可能なプレハブというよりは、まさに「移動式の店舗・住宅」と言って差し支えないレベルの品質です。

導入費用は用途や仕様により異なりますが、小型店舗型であれば200万円前後から始められるケースもあり、事業立ち上げのスモールスタートに最適です。


道の駅における活用

売場の拡張・新規事業への対応

道の駅は、全国的に売場面積や店舗数が固定されており、繁忙期やイベント開催時などに一時的に売場が足りないといった課題を抱えています。トレーラーハウスはそのようなニーズに柔軟に対応できる存在です。

たとえば以下のような活用が挙げられます。

  • 地元高校とのコラボ出店(学生が商品開発したスイーツの販売)
  • 季節限定の特産品直売所(桃・とうもろこし・干し芋など)
  • 新規事業者のテスト出店ブース
  • キッチンカーの代替となる常設型飲食提供スペース

導入・撤退が容易であることから、道の駅運営者にとっては「失敗してもリスクの小さい投資」としても注目されています。


有事における対応力

トレーラーハウスの真価が発揮されるのは、災害などの「有事」の時です。

モバイルランドリーの事例(兵庫県)

兵庫県で筆者が出張中に偶然出会った「モバイルランドリー」は、トレーラーハウス型のコインランドリーです。この施設は、2024年の能登半島地震の際、石川県の被災地に移送され、現地で衛生面の支援に貢献したという実績があります。

公共施設である道の駅にこのようなトレーラーハウスを常設しておけば、有事の際には次のような役割を果たすことが可能です。

  • 動くホテル: 避難所に代わる仮設住宅
  • 移動式レストラン: 被災地での温かい食事の提供
  • 衛生施設: コインシャワーやランドリーの展開
  • 医療相談室: 移動診療所や救護所として活用可能

平時は商業施設として地域に貢献し、有事には即応できる「地域資源」となるのが、トレーラーハウスの大きな特徴です。


導入形態と地域連携の形

トレーラーハウス導入のパターンは大きく分けて2つあります。

① 自治体(道の駅運営側)による所有

地方自治体が導入主体となり、道の駅の敷地内に設置して常時活用するケースです。イベント時や繁忙期には店舗として貸し出し、災害時には地域防災施設として転用する想定で導入されます。

公的資金(地方創生臨時交付金や防災対策補助など)を活用することで、導入コストの圧縮も可能です。

② 民間事業者による設置+防災協定の締結

地元の企業や個人事業主がトレーラーハウスを購入し、道の駅に設置。常時は商売として営業を行い、有事の際は自治体・道の駅と連携して支援に活用するという形式です。

この場合、防災協定をあらかじめ締結しておくことで、地域との信頼関係が構築され、両者にとってメリットの大きい仕組みとなります。


導入成功のポイント

トレーラーハウスを道の駅に導入する際、成功させるためには以下の点が重要です。

  1. 地域ニーズとの合致
     農産物加工や飲食、観光案内所など、地域の課題やニーズと一致しているかがポイントです。
  2. 稼働率を上げる工夫
     季節限定ではなく、年間を通して活用できる事業設計が求められます。例:スイーツ+土産販売+イベント連動
  3. デザイン性と景観配慮
     トレーラーハウスの外観が道の駅の雰囲気と調和しているかは、来訪者の満足度にも影響します。
  4. 有事対応計画の明文化
     実際の災害発生時にスムーズに移動・稼働できるよう、事前のマニュアル・訓練が重要です。
  5. 第三者の専門支援の活用
     弊社のようなトレーラーハウスと道の駅双方の事情を理解する中立的なコンサルタントの関与により、導入の精度が高まります。

まとめ

道の駅は今、地域の“顔”としての役割から、災害対応の“拠点”としての役割も担うフェーズに移りつつあります。その中で、トレーラーハウスという柔軟性の高いツールは、平時の売上向上と有事の安心の両方を支える存在として注目を集めています。

一方で、単にトレーラーハウスを設置すれば成功するわけではありません。地域性や運営体制、緊急時の運用までを見据えた「全体設計」があってこそ、真の効果を発揮します。

私たちカンパーニュ株式会社では、全国のトレーラーハウス専門企業と連携し、道の駅に最適な導入提案を行っています。第三者として、道の駅側の利益を最大化できる形での導入支援が可能です。お気軽にご相談ください。

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